V名人戦第二期
自分が将棋を指していると、人の対局の観戦記を書くのは中々大変になってしまうのであった
自分が放送すると他の人の配信を見にいけなくなるのと同じことだ
が、タイトル戦と挑戦者決定トーナメントは書きたいと考え、重い腰を上げて見た次第である
リーグ戦の結果等
公式HPをご確認いただきたい
確認すると、本局やトーナメントの結果も見えてしまうが
既に対局から2週間経つので問題はないだろう
対局者
川山一誠
江戸時代からタイムスリップしてきたお侍
スマブラをやりながら、将棋も強い二刀流(二刀で済むのかな?)
相手の攻めを様々な受けでいなす棋風で勝ち上がってきた
世良祭
【美少女になってちやほやされて人生イージーモードで生きたい!】に登場するキャラの二次創作Vtuber
あるてま系なりきりVtuberであります、詳細はググって
本格中飛車党
中飛車党らしい守の強さを持ちつつ、相振りでは将棋V界の相振り研究家常盤台メイちゃんを攻め倒す力も持ち合わせる
中継・聞き手
中継
イオリん
リーグ戦で世良祭さんを追い詰めたが一歩及ばず、今回は実況を担当
聞き手
ヒナちゃんちゃんねるですよ~
もう一人のトーナメント出場者、偵察にやってきた
戦形予想
対抗型、世良さんが中飛車だと推測される
一誠氏が何を採用するかが流れを決める
少々悪くなっても簡単に土俵を割らない両者、中盤如何にねじり合うかが見所だろう
アーカイブ
【第2期 #V名人戦】挑戦者決定トーナメント 川山一誠 VS 世良祭【中継配信】
観戦記
ここからは便宜上
川山一誠:一誠 世良祭:世良 紗月イオリ:イ ヒナちゃん:ヒ(敬称略)
と表記する
スマホ機種変更により画面が縦に伸びて辛い、下に変な広告が出ていないことを願う
感想
二枚銀の銀対抗から先手が仕掛けたものの、後手の65銀打ちから大幅に自重
これは一発トーナメントであるがゆえの防御よりの指し手であったが、後手がその隙に中央で大きく勢力を張って行く
この辺りの桂馬投入と銀の進出は世良さんの押し出し力が現れていた
角も隠居状態、先手は一体どうすれば
ここで出た47銀~58桂~66歩~67金の一連の流れ、これが一誠氏の真骨頂と言うべきだろう
流れを守りで食い止めて取り戻す、こういう指し回しは手本にしていきたい
(気持ち悪い形といわれていたが、大抵勝てばいい思い出になる)
世良さんも角を切り飛ばして57地点から絡んでいくが、最後は62銀打からの一連の攻めが刺さり投了となった
KENTO
極めて重要な対中飛車戦である
対ゴキ中だとしても二枚銀超速からじっくりした展開になる時は大体こういう形に落ち着くため、仕掛けどころなども含めて一度確認しておくと居飛車党はやりやすくなる
派手には決まらないなら、じっくり指そうという話ですね
振り飛車さんチームはじりじり悪くなってください!
仕掛けとは何か
本譜では64歩を突いたところで仕掛けたが、金上がりの瞬間も狙い目だったようだ
端的に言えば、単純銀交換は割り打ち銀が入るからである
それを嫌って進める場合
35歩同歩同銀34銀51角43銀成54飛45桂と跳ねて下の図
これは居飛車指しやすいでしょう
端角覗き
お楽しみ、相手駒組阻害コース
別にこれでぐっと良くなるわけではないが、中飛車側はどう指すか悩ましくなるので勝手に考えて貰おうという手
うっかり銀を上がったりすると……?
こんなことはまあ起きません
怯えないで
65銀という中飛車側のいつものあれが飛んできたとき
居飛車はどう立ち向かうべきなのか
勿論形にもよるし、心理状況にも拠るだろうが勇気の35歩がある
以下76銀出と桂馬交換を行って……
ふわっと銀に当てにいくのが味のいい手
64歩が64角出などを邪魔しているので十二分に戦える(この場合、64歩を突かせたタイミングで仕掛けたことに大きな意味が出てくるわけだ)
以下、銀引きにはこちらも銀引きで
後手の33地点がマッハである
後手は端からカウンターを狙う手順が候補に上がっているが、間に合うとは思えず中々苦しい展開だ
とはいえ、駒を渡しすぎると頭がスカスカの先手玉は一気に持って行かれるのでそこまで大差がついているわけではない(他にも取った金を渡すと36金があったり)
形とは
そんなアクロバティックな受け方は難しいと思います
互角なんだ……
後手のチャンス
飛車ってこう、2筋から動くと途端に悪いってソフトは判断しちゃうのはなぜなんでしょう
理由は大体ある、今回もある
単純な端攻めは15歩同歩同香16歩で止まるのではと思えるがそんな事はなかった
同香同香15歩35歩16歩34歩とした後に15角と飛び出したのが次の図
2筋から飛車がずれたので、(2筋突き捨てて置けばできる)角道止める26歩を打つことが出来ない
59角成が激痛すぎるために先手で香を打ち込むことが出来ないのだ
エマージェンシーで33歩成を入れても同金とされて……
銀が手に入れば襷がかけられるが、そんなの待ってくれないだろう
上からと下の馬で挟まれて金銀が吹っ飛ぶ未来しか見えない
かくきりこ(新人Vtuber)
勿論KENTOちゃんも角切りは推奨していないが、切った後の手として出してきたのがこの歩突き
なんだこれと取ってくれたら飛車周りがあるからだ、歩切れ解消が重要と言うわけ
ちょっと秒読み状態のニンゲンにはハヤイカナ
62銀打が厳しい理由
鷺宮ローラン推奨62銀が厳しいのは
なんだこの歩はぁ……??
あっ…………
強烈である、角を渡してもおつりが来る
本譜では銀を2枚手持ちの状態から仕掛けたが、それはやっぱり73銀と打てるからというわけである(打たなかったが)
最後の抵抗
それは受けすぎじゃないですかと非難轟々だった68銀は
やはり受けすぎであった
優勢ムードは全部吹っ飛びますねぇ……
しかし、拠点清算に見える57歩成は踏み込みづらい
むしろ飛車が59に居ることこそが後手の攻め継続で大事になるとは
飛角接近してて
最後の決め手
まあ色々ありますよ
難しいですね
おまけ
最終勝負、飛車なんか見捨ててしまうんだ(飛渡しても直接王手は掛からないから)
76歩52銀不成77桂成同桂同歩成同玉52銀と手を戻してみたら下の図のようになる
(76歩に同歩は上の候補手順のように進むだろう)
よく見てみよう
一見+1100の評価値であるが、その実実質正解は73歩の一手のみというわけである
73歩とか秒読みで打てるのか?
形を乱すならこの一手、されど自玉も釣り出されており何とも難しいだろう
相手に下駄を預ける形は確かに諦めであるともいえるが、ある種のプレッシャーかけでもあるので、この順もありえたというくらいである
つまり一誠さんが間違えることを信じて祈るくらいはしたいという棋風なら採択されるし、一誠さんは間違えないだろうとなると飛車を逃げたほうが良いと言う話になってくるはずだ
相手を知っていると相手への信頼度もまた、指し手に影響してくる
参考までに