将棋の時間よ~
・フリーズ将棋とは
フリーズ将棋とは、
ヴァーチャルネット将棋アイドル綾瀬綾ちゃん
がルールを制定した新感覚変則将棋なのだ!
ルールはこちら
端的に纏めると、
・相手の一種類の駒(生と成は別種)の動きを一手の間封じる事ができる、両者三回まで
・フリーズにフリーズ返しはできない
・王手されている状況で王手をかけている駒にフリーズはできない
このルールの恐ろしい点は、「玉もフリーズ可能」「自手番に連続でのフリーズ使用可能(相手はその間使用できない)」というところである
これだけ言っとけば、賢明なる諸氏は悪いことが出来ることに気付かれるだろう
王手将棋よりはマシだが、一瞬でも緩むと即死に繋がるわけですね
100回ルールを説明するより動画見たほうが手っ取り早いので
ここから何かみてもらえるとたすかーるです
フリーズ将棋詰め将棋なども作られるなど、じわじわと浸透……しているはずだ、多分!
・氷王戦
6人の将棋系Vチューバーによりフリーズ将棋の頂点、氷王をかけた戦いが行われることとなった
これを見ていくことにする
見ていくっていったって通常の感覚ではまず無理
何より未だに戦形や囲いなどが固まっていないのでどう説明すればよいのやら……
むしろ固まっていないときがこういう変則将棋の華なのである
変則ルールで定跡考えて動き始めたら棋力差が顕著に出ちゃうからね、ショウガナイネ
・出場者簡易紹介(敬称略)
綾瀬綾:ルール作成者、お将棋お姉さん、色んなことにチャレンじしてる
エクトリア:耳と尻尾がついてるよぉ(よく存じ上げず申し訳ないです)
鷺宮ローラン:綾ちゃんの師匠、師匠の名にたがわず棋力は他将棋Vチューバーを圧倒、配信も積極的、鷺宮にお住まいなのだろうか
常盤台メイ:メイドさん、ボードゲーマーでもある、ボードゲーム情報を提供してくださる
真澤千星:初代氷王、こちらも将棋配信いっぱい、ローラン氏とさぎちせ深夜レッスン(意味深)も
将棋ウォーズ、10分切れ負け、二先で行われる
ここから、フリーズはFとも表記
では第一戦のエクトリアさんVS鷺宮ローランさんの対局を見ていこう
フリーズ将棋の意味不明さが分かる手順と面白い手、妙手好手は太字で強調してみる
・エクトリアVS鷺宮ローラン
第一局
ローラン先
▲26歩に対し後手突然の角頭歩
それに▲68金上がりを決める謎の応酬
角道は後手が閉じたのを確認して開ける先手
ローラン(以下ロ)「お互い開けてるとめっちゃ怖い」
そして、後手の44歩に対して早々と▲45歩と開戦
△55歩の返し技(先手が取ると45歩を取ってF角が決まる)
それを回避の▲45歩取り込み
ロ「イインダヨフリーズヲツカッテモ(おばあちゃん)」
ナイトの挑発! 序盤から交わると大変危険、実際危険!
▲43歩成+F銀、シリーズ初フリーズ!
既にこの状態は後手がかなり不利、理由は当然陣形を一方的に食い破られている上に金気をとられるからだ
金じゃないからギリギリ何とかなるけれど気を抜いた瞬間死ぬわけで
さて、先手は単に銀を取ってしまったが実際は▲32と+F金で勝ちであったのだ
F金されると次の金取りF玉を受けることが出来ない
(指しながらすぐにローラン氏は気付いた)
ロ「実戦になるとF使うのが怖くてできない」
後手は53銀上がりで飛車の横利きを利かせながら徹底抗戦
先程の発言を翻し先手腹を括って▲23銀+F金!
序盤の角頭歩が逆用されたのだが、後手が△41歩と駒を埋めて金打ちからの即死を防ぐ
これが妙手、F将棋は王手させる空間を作ってはならないのだ
桂馬をもたれるとか超危険モードなのである
そして銀が手持ちに入ったのが後に生きることになる
▲55角
先手は後手のFを使わせようとしたがエクちゃんは不使用で△33桂!
使用して角を取りにいくと飛車が走るつもりだった先手は誤算
▲24歩と垂らすも△27銀F飛で後手は飛車を確保
先手も負けじと▲23歩成、騎虎の勢いでお互い飛車を取り合ったのだが……?
ここで△58歩+F玉が炸裂!
以下、どちらの金でとっても飛打ちF玉で詰みである
見事な即詰でエクトリアが緒戦を制した
(感想戦)
ロ「▲32と+F金しておけばよかった」
エ「いきなり崩されてやばかった」
観「玉の前に駒があったほうがいいんですね」
(58歩の筋が無くなる)
ロ「69玉したかったんだけど途中で忘れてた」
何が起こるのか分からないのがF将棋の面白さであるといういい話風味で〆
モコナ評:
エクトリアさんは序盤で追い込まれてから喋りが止まっていた。あれだけ追い込まれたら喋れなくなるのは無理も無い。早口言葉を言いながら将棋する方がおかしいのである。
一発入れれたのはFを保ってプレッシャーを掛け続けたのがよかった。
金と飛は強い、はっきりわかんだね。
モコナ本評:
△55歩が最後に生きた形に。歩の手裏剣が利いたのは歩を取らせたが故。
相手の持ち駒を絞る戦い方をしたいところだが、それはそれで攻めが難しいので最後は斬り合いになってしまう。決めきれない=自玉の危機。
Fが減ると後の決め方が難しくプレッシャーがかかる。二個は残して戦いたい。とにかく相手の持ち駒を良く見て戦う必要があるようだ。
まだまだ手探り感が強いが次の一局は両者Fを温存する戦いになりそうだ。
第二局
再び先手ローラン
▲26歩に△32銀と受けてスタート
後手は△31金、△41玉と寄ったが果たしてこれは大丈夫なのか?
先手は前局同様▲68金の形を決める
それに対応して△62銀を決めたがこれは飛車の横利きが止まる手
先手見逃さず、▲24歩+F歩!
後手は△12香と様子見
▲23歩成に△同銀F飛で相手を止めたかに見える
追撃の▲24歩
後手は△同銀と対応、▲同飛に△23歩+F飛を用意
これを見て先手は▲38銀と曲げたので△25歩と穏やかな対応
第二次駒組へ進んでいった
振り返って△同銀に▲同飛△23歩+F飛でも別に先手がさせた気がするのだが……
さて、後手が△34歩と角道をあけた手
ここで先手、角交換に踏み切るか悩んだものの見送っての▲73桂だったがこれは不味かった
△88角成+F銀が厳しい一手
先手は玉が逃げる以外ない、放置すると銀取り+F玉で終わってしまう
後手迷わず銀を取っての△79馬と迫ったが少し緩手、△89馬と桂馬を取った方がよかった(と思う)
桂馬で王手をすれば相手のF受けをつぶすことが出来る+結局銀にあたっているため
先手無理やり生き延びるために▲69金+F馬と馬殺し
しかし△86角が予想された用意の一手
(予想していたのは放送を後から見直した私)
先手は△57角成+F玉により詰みを避けるために▲79金+F角を使用するしかない、これでFがなくなってしまった
つまり普通の将棋になってしまうのである!
馬を外したものの△39銀が玉の退路を断ちつつ飛車に当てる強烈な追撃(△56
銀でもよかったのではないかと思われるが、本手順の方が飛車を取れるためよい)
無論、同金は△57角成+F玉の詰みがある
(これを考えると、そもそも玉の逃げる場所を58ではなく59にしておいたほうがよかったのだろうか……ただしそれは角による王手が見えてくるので結局厳しいか)
決め手である
ローラン「Fが無いからって好き放題されてる」
ローラン「普通の将棋でも勝てない辛い」
エクトリア「相手F持ちの詰め将棋を思い出すんだ!」
ローラン「こっちがつまされるほうなんだけど」
蹂躙タイム
角を打ったり玉が逃げたり粘っては見るものの、F玉での詰みを見せられての攻めは受けが利かない……
と思ったら、エクトリアさん渾身の詰み逃し
△77角成F玉で詰んでたのに……そこでまさかの
時間切れである
先手の勝ち
詰ませられるかもと悩んで時間を使ったのが悪かったのだろうか?
(感想戦)
ロ「これ見た人に怒られない?」
ロ「完全に負け将棋」
エ「角交換されてたらこっちが危なかった?」
ロ「△同銀に▲同飛したらどうなった?」
(▲同飛△23歩+F飛は、適当に手渡しして飛車を取らせてしまってもよかったのでは)
ロ「F二回と大駒の交換が正しいのかどうかわからない」
(その通りである)
ロ「△12香は▲23歩に角の逃げ場所を確保してて嫌だった」
ロ「▲69金+F馬は△68銀が嫌だった」
(しかし、これは馬を取りながらF銀して切ってしまったらいいのかもしれない。結局Fがなくなるけれど本譜手順よりは助かる展開)
ロ「むしろ△39角が不味いか」
(これが正解。▲79金+F角に対しては△78銀が厳しい一打。Fがなくなっている上に詰めろになっているため受けるしかなく、飛車が取られて銀も質駒。本譜と同じ末路となる)
モコナ評:
時間があるため、Fを一方的に持って有利にたったら詰ますより淡々と追い詰めたほうが良いと思われる。そのあたりの駆け引きは大事になるのではないか。
ローランさんの時間を使わせる逃げ手順は見事。ネット将棋では必須のテクニックである。V同士の将棋では喋りのテクニックも駆け引きの一つだ、多分。
モコナ本評:
角交換を怖がるとひどい目にあう。Fを先に使い果たすともっとひどい目にあうが踏み込む瞬間は大事なところだ。嫌なら完全に拒否った方がよさそう。(完全に拒否するなら二重の防衛線が必要だ)
飛車を渡すのも危険だが、相手のFが1回になっているなら意外と動き方も詰め筋も少なくなっている。Fが無くなるプレッシャーは厳しい。
第三局へともつれ込んだ、決め切れなかったエクトリアさんの方が辛いか?
第三局
先ローラン
三度ともローラン氏の先手となった
相中飛車模様で展開
今回はぶつかりが遅く駒組していくスタイル、早期に仕掛けたいけどよくわからないとのことで今回は我慢
やはりローランは68金型、今回は69玉も決めた
玉の周りを金気で囲っている、これでも角交換を仕掛けられると危険な形ではあるが
後手エクトリアもなんだか普通の手組みに見えるが、余り駒を玉から離したくないという意図が見える
前局から少し変わって角道をあけず後手は△14歩から△13角と据える
先手もそれに対応して三筋に戦力が集中
ここで△44歩に対して、▲44角+F銀とFを使用
ロ「守備的な意味合いが強いですね」
実際ここで△45歩▲同銀の進行は△35角F飛車がかなり恐ろしい状況を招くため危険なのだ
お互いに角を動かし再びの△13角に対して▲58金、狙われている金を先に外したの
だがそれはそれで怪しい一打だ
後手は追いかけて4筋に飛車を移動、歩が掠め取られたことを逆用する
先手は▲34飛と浮き飛車で対応、対応できているのか?
先手Fが一回減っているのが難しいところ
くりそら「幻の高橋ブロック」
幻とは一体(道雄が中原囲いで42金左~52金寄とした局があったらしいです、くりそら氏より)
ローラン「岡目だとあんなに手が見えるのに全く見えなくなる」
数手進んで後手、△46飛+F歩!
▲同飛に限定させて△35角と追撃
これが非常に危険な状態なのは先ほどからと変わらない、飛車が避けると△79角成+F玉から詰んでしまうのだ
飛車が浮いたせいで2段目の守備力が落ちているのもそれに拍車をかけている
が、逆襲の▲41龍+F角
ローラン「守備的な意味合いが強いんだよね」(三度目)
それに対して△68銀の王手
ローラン「F使わないとだめかぁ」
(ここは難しい、恐らく使わなくてよかった。▲同金寄は△同角成F銀▲同金△59金F玉で終了。しかし銀で取ったなら詰みがないので使わなくて良いのである)
先手Fを使い切り
ここからはF2回持ちの後手の蹂躙タイム
今度はお互い時間がないため先ほどの手は使えない
▲78飛から必死の抵抗を試みるも、F2回はいかんともしがたき
最後は見事に即詰みを決めて、後手の勝利となりました
(感想戦)
ロ「これ実質3戦とも負けてるね、構想が全体的にうまい」
エ「こっちも駒窮屈だったんだけどね」
ロ「最終的にはこっちの方が窮屈になったのがね」
エ「三筋からの攻めはなかったですか?」
ロ「13角→46角で銀取られて銀を放り込まれる筋が嫌で。この銀ただの的じゃんって」
ロ「△72玉がいい動き、この攻めが出来る」
(補足、上がっておかないと41龍が王手になり攻めをとめられてしまうからである。むしろ後手が反動で詰んでしまう危険性が)
くりそら「51金でもよかったのでは?」
(それがいい、相手に駒を与えないという点で)
(飛車の打ち所を与えたところで先手陣は壊滅寸前なので余り関係はなさそうだ)
ロ「この銀めー、序盤F使ったのも銀が負担になってたから」
(しかし、このFを先に使ったことが後手に飛車切りF歩を使う勇気を与えた可能性がある)
ロ「△68銀はF使わなくてよかったんだ」
(恐らくこの局面の後手の正着は……あれ、なんだろ? 銀打って受けるしかないのか?)
くりそら「▲41龍のところで▲85飛があったかも?」
みらら「▲85飛には△46角F歩されるとFが使えなくて厳しい?」
(74歩も考えられたが、結局F歩が強い)
(ただ、79角成にF銀で金寄って耐えて……ジリ貧ですね、うん)
ロ「85飛F○がよかったのかぁ、浮かばねぇ」
モコナ評:
難解すぎる。
しっかり組み合ったからと言って、別に堅くなったわけではないというのがF将棋の恐ろしさ。
むしろ陣形が盛り上がると危険がいっぱい。
モコナ本評:
歩越し銀+玉形に対して後手の13角の構想が実にはまったといえる。この構想で先手はしびれてしまった。
Fを先に使ったことでプレッシャーがかかり、F2回の恐怖から受けFを使ってFが切れた結果最後の大差となったといえる。
とはいえ、あの局面で銀を放り込まれて正常な判断で銀を取れるとは思えない……
後手もかなり危ない場面であったが、Fの数で勝ったといえる。残りFの数によるプレッシャーの掛け合いは今後の試合でも見所になるだろう。
・トータルの感想
1局目の詰み逃しが流れを決めた感はある。
しかし中々先にFを使うというのも難しく、ローランさんは先にFを使って果敢に挑んだといえる。
決定的な状況を作るか、相手にFを使用させてイーブンにするような状況を作るのが攻め方のポイントになるのではないだろうか?
でなければ相手がじれて攻めるのを待つしかない。
もっとよい攻め口を見つけられる人が出ると面白いのかもしれない
(ただし、結局詰み筋でのプレッシャーをかけたいのでFは二個持ってると便利であるのは間違いない)
結果、エクトリアさんの踏み込みのよさと切れ味の鋭さが随所に見られる展開となった。
あ、ところで棋譜再生(再現)ソフトって何かいいものありますかね……?
盤面を乗せたほうが絶対分かりやすいだろうから……><
・結果
エクトリアさんが2-1で鷺宮ローランさんを下し、2回戦(準決勝)へと駒を進めた
綾瀬綾VS鮫島フウロの勝者と対戦することになる